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ならことば考 やまとしうるわし

奈良の方言や奈良に関する言葉を愉しもう

奈良時代と呼ばれる時代があります。奈良には古くから豊かな文化が育まれ、人々が生活してきました。古事記、万葉集にも登場する今も残る地名や、奈良で使われている方言など、奈良に由来することばを紐解いてみましょう。

あをによし なら

青丹

かつて、顔料や化粧料の黛に使われていた青粘土のような暗く鈍い黄緑色のことです。青は緑、丹は土を意味し、緑みのある土の色を指しています。もともとは青土と書いて「あおに」と読んでいたようです。顔料となる岩緑青を表わす古名であり、奈良が産地として有名です。

これ、読めますか?

十六面(じゅうろくせん:磯城郡田原本町)

奈良県人なら読める?地名

賀名生

斑鳩

石上

櫟本

畝傍

上牧

御所

磯城

當麻

都祁

多武峰

洞川

榛原

白毫寺

平群

(あのう)(いかるが)(いそのかみ)(いちのもと)(うねび)(かんまき)(ごせ)(しき)(たいま)(つげ)(とうのみね)(どろがわ)(はいばら)(びゃくごうじ)(へぐり)

奈良県内の難読地名にチャレンジ!

奈良市

興ケ原町

肘塚町

杏町

京終

神殿

杉ヶ町

高天

内侍原町

平城山

忍辱山町

生琉星町

大豆山町

山陵町

三碓

二名

破石町

(おおぎ)(おくがはらちょう)(かいのつかちょう)(からももちょう)(きょうばて)(こどの)(するがまち)(たかま)(なしはらちょう)(ならやま)(にんにくせんちょう)(ふるさとちょう)(まめやまちょう)(みささぎちょう)(みつがらす)(みみょう※地元の人はそう呼びます)(わりいしちょう)

宇陀市

赤埴

麻生田

菟田野

芝生

守道

(あかばね)(あそだ)(うたの)(しぼう)(もち)

橿原市

雲梯町

小房町

小槻町

戒外町

膳夫町

地黄町

新口町

真菅駅/真菅小学校

飯高町

(うなてちょう)(おうさちょう)(おうづくちょう)(かいげちょう)(かしわてちょう)(じおちょう)(にのくちちょう)(ますがえき/ますげしょうがっこう)(ひだかちょう)

葛城市

忍海

新村

南道穂

(おしみ)(しむら)(はじかみ)

五條市

江出

生子町

飛養曾

向加名生

(えずる)(おぶすちょう)(ひよそ)(むかいあのう)

御所市

五百家

稲宿

今城

多田

蛇穴

西佐味

奉膳

重阪

(いうか)(いないど)(いまんじょう)(おいだ)(さらぎ)(にしさび)(ぶんぜ)(へいさか)

桜井市

生田

粟殿

小夫

忍阪

下居

外山

豊前

大豆越

百市

吉隠

(おいだ)(おおどの)(おおぶ)(おっさか)(おりい)(とび)(ぶんぜ)(まめごし)(もものいち)(よなばり)

天理市

庵治町

上総町

前栽町

苣原町

(おうじちょう)(かんさちょう)(せんざいちょう)(ちしゃわらちょう)

大和郡山市

藺町

今国府

(いのまち)(いまご)

大和高田市

神楽

曾大根

土庫

(じんらく)(そおね)(どんご)

河合町

送迎

穴闇

(ひるめ)(なぐら)

山添村

助命

(ぜみょ)

日本語の特徴

語順

オランダ語、韓国語、モンゴル語などと同じSVO型。

母音

5つ

文字

漢字、ひらがな、カタカナ + 拗音・濁音

方言

ことば(言語)が、それぞれの地域で発達をして、言語圏にわかれた言語体系のことです。一般的には、共通語や標準語とは異なって、特定の地方のみで使用される語をいいます。

方言周圏論

方言の語や音などの要素が、文化的中心地から同心円状に分布する場合、外側にあるより古い形から内側にあるより新しい形へ順次変化したと推定するものです。同心円の中心地から周辺に向かって伝播したとするイメージで、柳田國男が自著『蝸牛考』(刀江書院、1930年)において提唱し、命名したとされています。

方言周圏論の具体例としては、カタツムリのことを近畿地方では「デデムシ」と呼び、九州や東北地方では「ツブリ」と呼ぶものなどが挙げられます。

方言周圏論は、方言分布の解釈の原則仮説の一つとして、現在でも広く用いられています。ただし、方言周圏論には「文化的中心地が常に明確であるとは限らない」ことや、「政治や経済、交通などの要因によっても影響を受ける」ことなど、いくつかの限界もあります。そのため、方言周圏論はあくまでも仮説であり、他の要因も考���して方言分布を解釈する必要があります。

出典:Wikipedia『日本語の方言』

ならことば

主にならで使われていることばで、方言、訛り、語源など、ならにまつわることばの総称です。

北部の表現の特徴
  1. 京阪式アクセント
  2. 一音節語の長音化現象
  3. 断定 ~ヤ
  4. 過去推量 ~ッタヤロ
  5. 継続態 ~ットル ←→ 結果態に ~ッタル
  6. 文末助詞 ナー(近)
  7. 連母音 ai
南部の表現の特徴
  1. 東京式アクセント
  2. 一音節語の長音化現象がない
  3. 断定 ~ジャ・~ダ
  4. 過去推量 ~ッツロー
  5. 継続態 ~リョル、リョール ←→ 結果態に ~ットル
  6. 文末助詞 ナー(疎)
  7. 連母音 a:

参考:明治書院「奈良県のことば」2003.6 平山輝男他

別々にもっとっても無駄やろし、これあいやこしょ~か。

あいやこ=共有=シェア

この時間、24号、えらいつかえてんで。

つかえる=混雑する

明日香行ったときに食ったあまいはおいしかったなあ。

あまい=お菓子

あのみぃおまえからかったお金さぁ今日のひる飯代でいけいけにしといてや。

いけいけ=相殺。チャラ。

うちとみやけんとこは昔からのいっけやで。

いっけ=親戚

まえからゆ~てるやろ、そこらのもんを勝手にいろたらわからんくなるやん。

いらう=さわる

こんうんつく!いまさら何をぬかしてんのどぉ。

うんつく=バカ者

あいらへんのむらであきんどしたはる家はみなえ~しばっかりやで。

え~し=お金もち

あのな、すまんけどそんなおとろしいことはわしはよ~しゃんで。

おとろしい=わずらわしい

しゃん=しない

いっしょけんめぇするのはえ~けどしまいにおんづまりくるで。

おんづまり=無理がたたる

おまはんのとわしのんかえことしてんか。

かえこと=交換

なんやそれ、今日はえらいがっそなあたましてるやん。

がっそ=頭がぼさぼさ

わしな、定年をきっしょに酒をやめましてん。

きっしょ=しおどき

そんなこすいことしてたら、まちがいの~えらいめにあうで。

こすい=ずるい

えらい=たいへんな

おかんのしょ~ぶわけやから、これは大事にしてんねん。

しょ~ぶわけ=形見分け

ここんとこあそんでばかりで帰るのおそなっとるからな、そんなふうにめえへんやろけどずつないねん。

めえへん=見えない

ずつない=体調がすぐれない

あいつには前からせんどゆ~てきかせとんねんけど、ほんまゆ~こときかへん���

せんど=何度も

いつまでもちょつくぼってんと、はよこっちおいで。

ちょつくぼる=しゃがむ

仏さんのとこにな、酒があるやろ、たばってきてよばれよか。

たばる=お供物を下げていただく

そらあかんで、てれこになっとるがな。

てれこ=反対

ほんまはらたつな~、だれやてんごしたんわ。

てんご=いたずら

そろそろはらへってきたやろ、ほ~せきたべよか。

ほ~せき=おやつ

これ、はじめて食うたけど、めっちゃもむないなぁ。

もむない=まずい

最終問題

この道ろっくにせなあかん。

ろっく=平ら

文学やことばに生きる「なら」

早起きは三文の徳

元の木阿弥

三人寄れば文殊の知恵

昨日の淵は今日の瀬

目から鼻へ抜ける

花が見たくば吉野へござれ

蛇に道を横切られると持ち物を落とすから道を横切られた時は一歩退け

二匹の蛇が仲良くしているとき前垂れをかぶせたら福を得る

(吉野地方の口伝)

塩梅

梅根性に柿根性

奈良の地名は、『崇神紀』に、「那羅山」の名で見られます。また『万葉集』では、「奈良」と記されています。

由来は、平らにするという意味の「ならす(均す・平す)」で、緩やかな傾斜の平らな土地を表した地名ではないかと考えられています。

志賀直哉随筆『奈良』

兎に角、奈良は美しい所だ。

自然が美しく、残つてゐる建物も美しい。そして二つが互に溶けあつてゐる点は他に比を見ないと云つて差支えない。

今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しいやうに美しい。御蓋山の紅葉は霜の降りやうで毎年同じには行かないが、よく紅葉した年は非常に美しい。

五月の藤。それから夏の雨後春日山の樹々の間から湧く雲。これらはいつ迄も、奈良を憶ふ種となるだらう。